一夫一婦制と一夫多妻制、双方のメリット&デメリット

日本の一夫一婦の結婚式

人類は、その歴史の殆どにおいて「ゆるやかな一夫多妻制」であったというのが、多くの文化人類学者らの共通の認識です。
(僕はこの分野においては、死ぬほど多くの文献や論文を読んでいます)

「縄文人の平均寿命は14.6歳」という推計が示す通り、男女共に、1人の相手にそこまで執着していられなかったというのが実際のところでしょう。
特に女性は、旦那が死んでしまった場合は、早急に新しいパートナーを見つけないと、色々と大変です。

現代でも、人間を法律のない世界に置くと、一夫多妻の形態をとることが知られています。
それらは、アマゾンやアフリカの原住民を観察することで、確認することができます。

さて、実際にこれらの配偶システムを調査した人がいます。
世界の849の文化圏を調査した文化人類学者のジョージ・マードックはその論文で、
「世界中のおよそ8割以上の地域で、現在でも一夫多妻制がとられている」
と報告しています。
実際には、以下の数字となっています。

●一夫一婦制度(単婚)=16%
●一夫多妻制度(複婚)=83%
●一妻多夫制度(複婚)=0.5%

「国」ではなく「文化圏」という単位なので、実際にはここまで極端な数字ではないかもしれませんが、日本人が思っているほど一夫一婦制というのは世界のスタンダードではないようです。
実際、完全な一夫一婦制の国というのは、日本やアメリカ、そして西欧などの先進国(主にキリスト教圏)だけに限られています。

こうなっている理由は、一夫一婦制というのは、国が豊かでないと成立しない制度だからです。
イスラム圏の国々などは、一夫一婦制を採用したくても、できないのです。
一体、どういうことなのでしょう?
今回は、双方の良い点・悪い点なども含めて一緒に見ていきましょう。

一夫一婦制のメリット

子供の死亡率が低くなる

一夫一婦制というのは、子供の父親を特定しようというシステムです。
誰と誰がパートナーかわからないような社会では、たとえ女性に子供が産まれたとしても、その子供を養育しようという男性は現れにくいです。

一夫一婦社会では、女性に子供が産まれた場合は旦那の子供とし、旦那に扶養義務を課せていますので、必然的に子供の死亡率は低くなります。
また、遺産相続等の問題も起こりにくいため、この辺りのモメ事も起きにくくなっています。

国が豊かになる

男性は、産まれた子供が自分の子だと確信している時ほど、その子供に多くの投資をします。
このため、一夫一婦社会では、子供はしっかりとした食料&教育を与えられるケースが多くなります。

そうして育った子供は、社会貢献するような立派な大人になる確率が高く、国にしっかりと税金を納めるようになります。
消費も税収も増えるこの正のスパイラルは、社会を安定させ、国を豊かにします。
国民の幸福度も上がる傾向にあるので、戦争も減ります。

結婚できない男性が減る

一夫一婦制というのは極端に言えば「全ての男性に奥さんを用意しますよ」という制度です。
年収が1兆円あろうが、男性は1人の女性としか結婚する事ができません。

そういう意味では、
●一夫一婦制=一般庶民に有利なシステム
●一夫多妻制=お金持ちに有利なシステム
と言い換える事ができます。

大半の男性が結婚して家庭を持ち、そして保守的になります。
必然的に、犯罪率も低下します。

一夫一婦制のデメリット

女性は浮気される確率が高くなる

人間の基本的な婚姻形態は一夫多妻なので、一夫一婦だと、どうしても浮気される女性が増えます。
いつの時代でも生涯未婚率は男性の方が高い(つまり1人の男性が複数の女性を確保している)ことからも、それがわかります。

実力のある男性(イケメン・資産家)は、既婚者でも多くの女性と不倫関係を持つことができます。
非魅力的な未婚男性と付き合うよりも、魅力的な既婚男性の方がいいという女性がいるのですから、仕方がありません。

芸能人が浮気をしたりすると、ワイドショーなどで批判の的にされますが、多くの文化人類学者は、不倫は非倫理的行為ではなく、本能に基づく至って普通の行為だと考えています。
僕もそう思います。

美人の8割は損をする

心理学者らのデータによると、美人の数は美男子の数より、約5倍も多いそうです。
男性が性的に魅力があると感じるのは女性は全体の約10%ほどですが、女性が性的に魅力があると感じるのは男性全体の約2%ほどだというのが、その根拠です。
これは、男女のアイドルの数を比較してもわかります。

これが何を意味しているかというと、自分と釣り合う美男子と結婚できる美人は、美人全体の約2割で、残りの8割は妥協しなければならないということなのです。
よくテレビでグラビアアイドルなどが「彼氏に二股された」などと話していますが、あれは実は必然的に起こっていることなのです。

優秀でない男性の遺伝子も後世に受け継がれる

一夫一婦の場合、どんなに1人の男性を愛したところで、その男性が既に結婚していれば、他をあたらなければなりません。
「後世に子孫を残せ」というのは、生まれつき我々の遺伝子にインプットされている強力な命令ですから、普通の女性は妥協してでも結婚します。

一夫多妻制の場合は、優秀な男性の元に女性が集中するので、ある程度優秀な遺伝子しか受け継がれませんが、一夫一婦制の場合は、ほぼ全ての男性の遺伝子が後世に受け継がれるので、「進化」という観点で見た場合は、一夫多妻制に劣ります。
性淘汰が行われず、優秀でない遺伝子も遺伝子プールに残り続けてしまうということは、大袈裟に言えば、進化をストップさせてるのと同じです。

感のいい方はお気付きかもしれませんが、一夫一婦社会で得をするのは、一夫多妻制の国であれば絶対に結婚できないような負け組み男性だけなのです。

一夫多妻制のメリット

南アフリカの一夫多妻の結婚式
(4人の妻と同時に結婚式を挙げた44歳の南アフリカ人男性)

未婚女性や妥協婚する女性が減る

男女双方の選択肢を増やそうというのが、一夫多妻制度の考え方です。
特に女性は、かなり自由にパートナーを選択することができます。
「女性からの求婚は断ってはいけない」という慣習のある地域すらあります。

イスラム圏では男性は4人まで妻をめとることが許されていますが、王族などはやりたい放題で、実質的に数百人の奥さんがいる人もいます。
「妥協して変な男と結婚するぐらいなら、奥さんが100人いる王族の方がマシ」と考える女性がいることは、別に不思議なことではないでしょう。
第二夫人、第三婦人という立場さえ我慢すれば、大袈裟に言えば、女性は誰ともで結婚できるのです。

国の資産を有効に使える

日本のような一夫一婦社会では、たとえば100人の奥さんを養える余裕のある男性でも、1人分しか使えず、残りの99人分は余らせてしまうことになります。
そういった事をなくそうというのが、一夫多妻の考え方です。

ぶっちゃけて言えば、貧富の差が激しい国で一夫一婦にしてしまうと、大半の女性は結婚できなくなってしまうため、一夫多妻にせざるを得ないのです。
貧困社会と一夫一婦制度は、非常に相性が悪いのです。

優秀な男性の遺伝子しか受け継がれない

優秀な男性の元に女性が集中する一夫多妻社会では、当たり前ですが、優秀な男性の遺伝子しか後世に受け継がれません。

「生物多様性が喪失される」などと反論している人がいますが、まったくのお門違いです。
そもそも、人間の女性は、生物界一、異性を選り好みする生き物です。
その厳しいお眼鏡にかなった男性だけが、交尾を許されてきた歴史があります。
だからこそ、ヒトはここまで急速に進化し、地球を支配する事ができたのです。

もしも人類の基本的な婚姻形態が一夫一婦であったなら、我々まだ木の上でサルと同じような生活をしていた事でしょう。
一夫多妻を倫理的な観点から批判している人は、こういう事実を知らないのかもしれません。

一夫多妻制のデメリット

結婚できない男性が世に溢れる

先のジョージ・マードックは同論文の中で、
「一夫多妻制の地域では、実際に数十人の妻を抱える男性もいるが、2人以上の妻を持つ男性は全体の1割にも満たなかった」
と報告しています。
当たり前かもしれませんが、一部の男性の元に女性が殺到してしまうということですね。

一部の男性に女性が集中するということは、それだけ余る男性がいることを意味します。
実際にイスラム圏などでは、大半の男性は結婚ができず、一生に一度もSEXをすることなく死んでいく男性も多いと聞きます。

アマゾンやアフリカの少数部族では、村の殆どの女性が村長に嫁いでいるなんて事も珍しくありません。
「フィーリングが大事」などと、のんきなことを言ってられる日本人は、本当に幸せかもしれません。

戦争や革命が頻繁に起こる

極端な一夫多妻社会では、生まれつき裕福な家庭に生まれるか、事業で成功するなどしないと、結婚できません。
大半の負け組男性は、じっとしていても仕方がないので、一発逆転を狙って大きな賭けにでます。
このような原理で、ISなどの悪しき集団が次々と形成されていきます。

世の中に不満を抱く男性が大半になるので、革命やクーデターも頻繁に起きます。
貨幣の価値も安定しないので、経済も発展しづらくなります。

少子化につながる

一夫多妻社会は少子化になりやすいという事が、イスラム世界を含めた民族社会研究で明らかになっています。
そうなる理由は、豊富な資産や社会的地位のある熟年男性の元に女性が集まりやすいからです。
男性も歳を取れば生殖能力が衰えますから、これは当たり前の事です。

また、一夫多妻社会では、子供1人あたりの養育費が少なくなる傾向がある事が知られています。
優秀な人材が誕生する確率が低くなるということですから、文明の衰退、国力の低下にもつながります。

一妻多夫制について(おまけ)

インドの一妻多夫の結婚式
(5人兄弟の全員と婚姻関係を結んでいる21歳のインド人女性)

一妻多夫制度については、国として正式に採用している国はなく、ヒマラヤ・チベット・ネパール・インドなどの主に山間部の極一部の地域(部族)でしか確認されていません。
この制度が慣習となっている地域に共通するのは、以下です。

●地理的に孤立していて過疎化している
●間引きによって女性の数が極端に少ない
●文明からかけ離れていて貧困化している

要するに好きでやっているワケではなく、そうするしかない事情があるというのが実際のところなのです。
生活インフラが整っておらず、原始的な狩猟採集生活を送っている地域であることが殆どなので、1人の夫では家族を養っていけないという事情もこの制度が根強く残っている原因です。

特筆すべきは、兄弟間で争いが起きたり、モメたりすることは一切なく、非常にみんなが穏やかに暮らしているという点です。
女性に子供が産まれた場合、当然誰の子かわかりませんが、兄弟はケンカする事なく、それぞれが自分の子供のように可愛がるということです。

これはもちろん兄弟だからできることなのでしょうが、このように兄弟で力を合わせないと、共倒れになってしまうという厳しい事情がその背景にはあります。

まとめ

こうして見てみると、結婚制度というのは、それぞれの国が好きでそうしているワケではなく、やむを得ない事情があったり、社会や文化との相性がそうさせていたりするケースが多いという事がわかります。

日本も1898年(明治31)までは一夫多妻婚が認められていたワケですが、当時の時代背景を考えると、一夫一婦婚に切り替えるタイミングとしては、適切だったのかなと思います。

やみくもに一夫多妻などの婚姻形態を批判する人がいますが、日本もつい最近までそうだったこと、それぞれのお国の事情があるということを、頭の隅にでも留めておいてほしいと思います。

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